商標登録に初めて挑戦したはるみさん(*仮名)は自分で商標法を勉強して、自分で書面を作成し、自分で特許庁に願書を提出しました。
これらはじめて商標登録に挑戦する方の参考となるように、はるみさんの事例を例に取り、陥りやすい注意点について説明していきます。
商標を選択しよう
はるみさんはデザイナーです。現在はデザイナーのための教室を開きたいと考えています。登録を希望する商標は「ホームページデザイン教室」です。
最初に調べるのは、商標「ホームページデザイン教室」が商標登録可能かどうか、ということです。
また特許庁に提出する商標登録出願の願書には、商標「ホームページデザイン教室」を使用する商品・役務(サービス)を指定する必要があります。
はるみさんは近くの書店で商標登録の本を買ってきました。これによると、既に「ホームページデザイン教室」の商標が他の誰かによって登録されている場合には後から出願しても商標登録を受けることができないことを知りました。
また商標「ホームページデザイン教室」は、ホームページのデザインを教える教室についてのサービスです。このサービスはどうやら商標法の定める第41類に属することも分かりました。
そこでさっそくインターネットを使って、「ホームページデザイン教室」が商標登録されているかどうかを調べてみました。
特許庁の電子図書館で先行登録商標を調べることができます。
はるみさんは特許庁の電子図書館で調べましたが、「ホームページデザイン教室」という商標と同じ商標は登録されていないことを知りました。
さっそく願書を作成しました。商標を記入する欄には「ホームページデザイン教室」と記入しました。また指定役務を記入する欄には「ホームページのデザインに関する教室の開催」と記入しました。
特許印紙\12,000-を願書に貼って、特許庁に提出しました。
手続きは思ったよりも簡単でした。これなら自分で商標登録ができます。同様に、「ウエブデザイン教室」の商標や「ホームページデザイナー教室」等の商標について、合計20個の願書を自分で作成して特許庁に20の商標登録出願を行いました。
はじめて商標登録をしてみました
■1 特許庁の審査
願書を特許庁に提出してから、約7ヶ月ほどで審査の結果がきました。
特許庁からの通知には拒絶理由が示されていて、40日以内に意見書を提出するように書かれています。40日以内に拒絶理由通知に対して意見書を提出すれば再度審査をすることも書かれています。
拒絶理由通知には商標登録を受けることができない理由が書かれていますが、読んでも意味が良く分かりません。
また市販本を読みましたが、一般的な場合が記述してあるだけで、はるみさんの場合にはどのように対応すればよいかは皆目検討がつきません。
■2 特許事務所に依頼を検討したけれど
はるみさんが受けた拒絶理由通知は全部で20通でした。全ての商標登録出願について拒絶理由通知を受けてしまいました。
しかもどのように特許庁に対応してよいか分かりません。拒絶理由通知書は通知案内を含めてA4サイズで100頁以上になります。
特許事務所を調べて検討を依頼しようとしましたが、一件あたり数万円がかかるといわれ、途方にくれてしまいました。
既に出願の段階で特許印紙代だけで24万円を投入しています。手持ちのお金はもうありません。どうすればよいか分からずに時間だけが過ぎていきました。
はるみさんが失ったのは24万円の印紙代だけではありません
商標登録を自分で行うために一ヶ月以上、自宅にこもって商標法の勉強を行いました。
同じ時間分を働いていたら、20万円は稼ぐことができたのではないでしょうか
商標登録の手続きのために貴重な一年の時間を投入したのに、一年の時間が経って分かったことは、24万円の印紙代を失ったことと、1年の時間を失ったことです。
■3 拒絶査定
結局特許庁の拒絶理由通知に対応することができないまま、半年以上の期間が過ぎてしまいました。
特許庁から拒絶査定の謄本が送達されてきました。
結果として、自分で商標登録出願をすることができましたが、20出願分の特許庁印紙代24万円を全て失ってしまいました。
*本人を特定できないようにするため事例に変更を加えましたが、印紙代だけで数十万円を捨てる結果になった本当にあった話です。
商標登録の前にはるみさんはどうすべきだったか
■4 事前のご利用計画は十分に
はるみさんの場合は何もかも自分でしようとして全てを失ってしまいました。
きちんと対応すれば少なくとも24万円を捨てなくても済んだように思います。
はるみさんは一環して「私にはお金がないから自分でしなければならなかった」と説明されましたが、あなたならどう感じるでしょうか
商標権を20個取得しようとすると、特許庁に支払う印紙代だけでも100万円近くかかります。
彼女の場合、100万円のお金が準備できないにも関わらず100万円分の買い物をしようとしたことになります。
たとえ話になりますが、はるみさんの話は、街で買い物をしていて、ペット屋さんにたまたま入ってみた子犬がかわいいと感じていきあたりばったりに20匹の子犬を全財産をはたいて買ってしまった人の話のようです。
かわいい子犬のための環境を自宅に準備することもできず、食べ物も十分に与えることができず、次々に全部の子犬が病気にかかってしまった状態と同じです。
お金がないので獣医の診察を受けさせることもできず、結局全ての子犬の命が奪われてしまいました。この話を思い出すたびに私はこんな惨劇を想像してしまいます。
子犬なら吠えて調子の悪いことを知らせてくれますが、商標登録出願の場合は自分からは教えてくれません。
きちんとケアしないと商標登録出願も病気になってあっという間に亡くなってしまうのです。
ご利用前の計画は十分に。十分な専門家のケアを受けることができず、放置されて亡くなってしまった「商標くん」からの心からのお願いです。
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